記憶に新しい中国製冷凍食品による農薬中毒事件や、事故米の転売が発覚した食品偽装。相次ぐ食品事故や食品偽装は人々の暮らしと共に根本的な生活を脅かし、食の安全に対する担保が必要となっています。また、感染源の特定が難しいウィルス性のBSE問題や鳥インフルエンザ等、食の危害要因には、人的事故を含めて、生物的要因(病原微生物、寄生虫など)、化学的要因(重金属、残留農薬など)、物理的要因(ガラスの破片、金続片、毛髪など)などがあり、これら起こり得る危害要因に対して、様々な観点からそのリスクを点検し、検討を行いながら、改善をすることでその安全を高め、最終消費者に対して、その食の安全を担保する制度が必要であると考えられ、また、消費者の食の安全が守られることを要求する権利こそは、食品の安全性確保のためのシステム形成のために必要且つ重要な権利であるとも言えます。
「食の安全」は生産・加工・流通・販売工程におけるそれぞれに発生し得る「危害要因」を取り除き、または限りなくゼロすることで実行され、その責任は各工程に携わる事業者が取り組むべき課題となります。「食の安全」は、決して、「リターン」を伸ばすことではなく、あくまでもその「リスク」を徹底的に排除することが重要であることを強く認識しなければならないと同時に、付加価値やブランドと結びつくものでは全くありません。「安全性」の高い食品が消費者に対して「安心」をもたらす一方、その安全性については、主観的な評価ではなく、客観的な評価とともに国際的な枠組みのもと、輸入品同様、国産品含めて同一基準で評価していくことが、食品流通の国際化が進むなかで最も重要なことであると言えるでしょう。
「農場から食卓まで」というフードチェーン全体を通じた食品安全の考えのもと、国際機関による国際的枠組みにおいては、FAO(国連食糧農業機関)及びWHO(世界貿易機関)の合同機関であるコーデックス委員会が、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として国際食品規格の策定を行っており、そのなかで、HACCP(危害分析重要管理点)手法と、GAP(適正農業規範)及びGMP(適正製造規範)の導入を推奨しています。一方、民間組織による国際的枠組みにおいては、世界最大の消費財フォーラムであるCGF(コンシュマー・グッズ・フォーラム)の食品安全部会であるGFSI(グローバルフードセーフティイニシアチブ)が食品安全規格を導入しており、その主要要素として、下記項目を挙げています。
- ①GAP・GMP・GDP(適正流通規範)
- ②食品安全管理システム
- ③HACCP(危害要因分析必須管理点)
生産・加工・流通・販売等の各工程のなかで、それぞれの事業者が実行可能な範囲で食品の安全性確保に努めなければなりません。これら各工程に基づいた食品安全の事業者に対する要求は、食品流通がより国際化されるなかで日増しに高まっており、食品に関わる全ての業者が最終消費者に対して、自ら工程における危害要因の分析を行い、リスクを排除する責任があります。そして、それは1セクターや1企業の努力で食の安全システムが構築できるのではなく、各工程のなかでそれぞれの規範を定め、それらが合わさった結果初めて、最終消費者に対して「食の安全」が担保されることを強く認識しなければなりません。






