1992年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ市で開催された国連地球サミットにて採択された「アジェンダ21」では、「持続可能な開発」という概念が提唱され、その「持続可能」の定義付けを「将来世代の需要を損なうことなく現在世代の需要を満たすことと致しました。
以降、「持続可能な社会」の実現を求める声が多くの産業界、世界地域等においてなされるなか、農業分野においても、その持続可能性を考えた農業の確立に対する人々の要望が近年、急速に高まっています。「持続可能な農業」、環境保全や生物多様性の確保はもとより、食糧問題や食の安全に関する問題等、農業を通じた社会全般に与える影響に対して配慮を行いながら、その持続可能性を維持することを指します。
農業は食料という人間に必要不可欠な消費財を、安価・安全・安定・長期に供給される産業でありながらも、一方で、人口の増加に対する食糧需要の急騰や相次ぐ森林伐採による農地の開拓等、地球規模では、環境や生物及び森林体系の破壊を引き起こし、現実的には水資源の減少や過多な農薬使用による土壌汚染が発見されています。これら人々の生命に直接的間接的に関わる多種多様な問題を須く解決していくことが必要であり、それは「持続可能性」と併せて検討されるべき課題であると考えています。
農業を取り巻く課題ついては、農業生産という根本的な活動を行う「生産者」とその活動から産まれる消費財を消費する「消費者」の二つの側から総合的に解決していくことが必要であり、その「持続可能性」については、地球・国・地域・個別等の各レベルにおいて対応していくことが求められています。

- ※注1 21世紀に向け世界の各国及び関係国際機関が持続可能な開発に向け実行すべき行動計画の事。
私たちに鮮明な記憶を突き付きた発展途上国の人々による食料を奪い合う姿、地球・国レベルにおいては、食料の需要が爆発的に増加し、食糧問題が発生している一方、それを解決するためには、食料を提供している生産者の「経済的持続可能性」と併せて追究していかなくてはなりません。農業収入の減少など、その経済性は地域・個別レベルで異なるため、「持続可能な農業」はもはや一つの手段や手法で解決される問題ではなく、また、基準値を遥かに超える残留農薬や土壌・水質汚染等から脅かされる食の安全については、消費者が要求できる権利であることなどから、たった一つの側から判断される問題でもありません。
多くの産業があるなか、農業は唯一、地球上を構成する陸地と海洋の面的大部分を利用する産業であり、自然や環境との共生なしに農業も人間も、そしてその経済もその持続性も保障されないため、例えば、農業における地力、漁業における最大維持可能漁獲量のように、「環境的持続可能性」を踏まえた生産活動が必要となってきています。また、産業構造の変化や都市化に伴う農業人口の減少や高齢化は、農村の過疎や農業の衰退をもたらし、地域が発展し、活性化させるために必要な「社会的持続可能性を保持しなければなりません。
経済的、環境的、社会的に「持続可能な農業」はまさに、「将来世代の需要を損なうことなく現在世代の需要を満たす」農業の確立であり、現在世代を優先しながらも、将来世代のことを真剣に考える「持続可能な農業」は、100年先の人々の生命を支えるための大きな一歩となります。






