強き国内農業市場を、活力ある地域社会の実現を目指して
2008.04.07
2001年11月にカタールの首都ドーハで行われた第四回WTO閣僚会議で採択された多角的貿易交渉「ドーハ開発アジェンダ」、通称、「ドーハ・ラウンド」は、「ウルグアイ・ラウンド」の農業版とも言われ、農産物の関税撤廃・農家への補助金削除を実行することで貿易の自由化を促進し、発展途上国の開発経済に寄与するための国際的な貿易ルールの取り決めとなるはずでした。しかし、その後、「ドーハ・ラウンド」の交渉は難航します。先進国と発展途上国の利害関係が一致せず、膠着状態を引き起こし、全会一致を原則とするWTOの難しさが改めて浮き彫りとなりました。
「ドーハ・ラウンド」は言わば、グローバリゼーションの代表格であり、冷戦後の経済システムを映す鏡でもあります。ヨーロッパにおいては、1952年の石炭鉄鋼共同体の発足から半世紀を過ぎたいま、EUの参加構成国は27ヶ国となりました。WTOの自由貿易制度を活用するEUの域内貿易率は、輸出が73.2%、輸入が70.3%と、輸出入の四分の三を地域内でまかなうという、もはや経済システムは地域経済単位で動いていることを実証しています。EUの台頭を恐れる米国は、2025年までに北中米の合計34ヶ国で一つの自由貿易圏を作るというFTAA(米州自由貿易地域構想)に着手しています。
一方、アジアもグローバリゼーションの影響を受けています。1997年にタイ・バーツの暴落から始まった金融危機はフィリピン、マレーシアなどの周辺国に飛び火をし、もはや一国の経済事由は周辺他国に影響を及ぼすという経済システムのなかで、地域単位でその強化を行うのは必然的な取り組みでした。2000年に入り、金融危機からの復興を遂げたASEAN諸国と、中国経済の台頭は、2001年12月の中国のWTO加盟をもって、「ドーハ・ラウンド」と域内で進むFTA網で新しい経済システムが構築されています。
しかし、未だ産業の保護化を行い、「農業市場開放」のカードを切れない日本は、WTOの「ドーハ・ラウンド」と同じく、地域内での自由貿易協定網の構築でも後れを取っています。2005年のWTO香港閣僚会議以降、交渉打ち止めとなった「ドーハ・ラウンド」に対して危機感を募らせたEU、米国の先進国、ブラジル、インドの発展途上国の「G4」が、双方、歩み寄りを見せるなか、このままでは、日本を外して交渉が進み、G4が提示する農産物への関税撤廃・農家への補助金削除の妥協案を飲まざるを得ない状況です。
市場の開放含む、グローバル化の是非論ではありません。その潮流が確固たるものとし存在するのならば、数百年の文化伝統に根ざしたわが国の農業はいままさに改革の時期であり、国内農業の競争力を強化するために最大限の支援をさせて頂くことがわが社の社会的責任であると考えています。「強き国内農業市場を、活力ある地域社会の実現を目指して」、微力ながら貢献させて頂く所存でございます。お付き合い程、宜しくお願い申し上げます。






